福島第1原発事故吉田調書抄録(5)
福島第1原発事故 吉田調書 第5回目です。
ベント躊躇せず「大臣命令で開くもんじゃない」
東京電力福島第1原発事故で、当時の吉田昌郎所長への聞き取り調査をま
とめた「吉田調書」。5回目は、原子炉格納容器の圧力を下げるベント
(排気)に関する証言をまとめた。
〈平成23年3月11日の東日本大震災の津波の影響で冷却機能を喪失し
た第1原発。格納容器の圧力が最初に高まったのが1号機で、早い段階か
らベントに着手していた〉
--12日に日付が変わる頃に、1号機のドライウェル(格納容器上
部)圧力が600キロパスカルということで、格納容器内の方に圧力容器
から放射能が漏れているんではないかという懸念が考えられた
吉田氏「600キロパスカルだとすると、漏れているとしか考えられな
い」
--そういう認識に至り、その次の対応として格納容器ベントを実施す
る可能性があることから準備を進めるよう指示しているが、(圧力抑制室
の水を通す)ウエットウェルベントということか
吉田氏「この時点では手順に従ってということなので、まずウエットウ
ェルベントをして、それで下がらなかったら、最後は(水を通さない)ド
ライウェルベントをしなければいけない。こういうことを全部指示してい
る」
--手順書では中央操作室のスイッチで弁が開けるが、今回はそれができ
ない
吉田氏「AO(空気駆動)弁のエアがない。もちろんMO(電動駆動)
弁は駄目だと。手動でどうなんだというと、線量が高いから入れないとい
うような状況が入ってきて、そんなに大変なのかという認識がやっとでき
上がる。その辺が、また本店なり、東京に連絡しても伝わらない」
--すごい階層がある
吉田氏「一番遠いのは官邸ですね。大臣命令が出ればすぐに開くと思っ
ているわけですから。そんなもんじゃない」
--午前6時50分に(海江田万里)経済産業相が法令に基づくベント
の実施命令を出した経緯は知っているか
吉田氏「知りませんけれども、こちらでは頭に来て、こんなにはできな
いと言っているのに、何を言っているんだと。実施命令出してできるんだ
ったらやってみろと。
極端なことを言うと、そういう精神状態になっていますから。現場では何
をやってもできない状態なのに、ぐずぐずしているということで東京電力
に対する怒りがこの実施命令になったかどうかは知りませんけれども、そ
れは本店と官邸の話ですから、私は知りませんということしかないんで
す」
〈午前7時11分、ベント遅れにいらだつ菅直人首相が陸上自衛隊ヘリコ
プターで第1原発に到着。吉田氏らから説明を受けた後、午前8時4分に
は宮城県に向け飛び立った〉
--菅首相が第1原発に来て帰っていく上空をベントで(放射性物質を
含む気体を)どんどん吹かしていくのはどうなのかということから、操作
を遅らせたという判断は
吉田氏「全くないですね。早くできるものはかけてしまってもいいんじ
ゃないですかくらいですから。総理大臣が飛んでいようが、何しようが、
炉の安全を考えれば早くしたいというのが現場です」
--機材とか十分準備できていないし、線量も高いし、できるか分から
ないが作業を余儀なくされた
吉田氏「被曝(ひばく)しますけれども、最後は手動でやるしかないと
いうふうに腹を決めて、午前9時に(現場へ)やってくれとお願いした」
--何かやろうと思っても何もできない状態なのに、下げろと言うんだ
ったら、お前らやってみろと言うしかない
吉田氏「現場はできる限りのことをやって、後がスムーズに行くように
と思っているんですけれども、なかなかそれが通じない。躊躇(ちゅうち
ょ)していると思われているんです。何も躊躇などはしていないですよ」
(肩書は当時)
「産経ニュース」より抜粋。
何も知らない日本の首相が、パフォーマンスで来て訳の解らない事をいっ
て、現場を混乱させる。
事件は会議室で起きてるんじゃない!!現場で起きてるんだ!!
と言いたくなるよね!!!
官邸の人たちは、大臣が命令すれば開くとでも思っているのか?
被爆覚悟で手動で弁を開く覚悟でいた吉田所長。それでもお偉方さんから
みれば躊躇してるように見えたか?
日本の組織ってこんなもんです。
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