福島第1原発事故吉田調書抄録(9)
福島第1原発事故 吉田調書 第9回目です。
「これは誰が殺したんですか」地震・津波対策への思い
東京電力福島第1原発事故で、所長として現場の指揮を執った吉田昌郎氏
の聞き取り調査をまとめた「吉田調書」。9回目は、福島第1原発の地
震・津波対策に関する吉田氏の証言をまとめた。
関心高くなかった
吉田氏「これは声を大にして言いたいんだけれども、本当は原発の安全
性だけでなくて、東日本大震災で今回2万3千人が死にましたね(実際は
死者・行方不明者合わせて約1万8500人)。
これは誰が殺したんですか。(地震の規模を示す)マグニチュード9が来
て死んでいるわけです。あの人たちが死なないような対策をなぜそのとき
に打たなかったんだ」
〈原発事故を防げなかったことに対し、吉田氏は聴取の中で何度も悔悟
の念を吐露するとともに、地震・津波被害を少なくできなかったのか、問
題を投げかけている。
吉田氏は平成19年4月、東電に新しく設けられた原子力設備管理部の初
代部長に就任し、地震・津波対策に傾注した経験があるからだ〉
--自然災害から原子力施設をどう守るかという備えなど過去の状況に
ついてうかがいたい
吉田氏「19年当時、あまり地震・津波に対して関心が高いということ
はなかったんです。会社全体としてもそうですし、世間全体としてもそう
だったんです。
一番大きかったのは(19年7月の)中越沖地震があって、想定している
地震動の何倍という地震がきた。
これはまさに私どもの原子力設備管理部で対応しないといけなかった。そ
の中でまず、福島第1原発について、近辺の断層をもう一度調査するとい
うことを一生懸命したということです」
--それが19年7月ですね
吉田氏「今まで考えていた地震動より大きい地震が来るとすると、例え
ば、建物や配管とか機器の補強をしなければいけないということになりま
すから、そちらの解析を重点的にやりましょうと。
20年の途中から、随伴事象としての津波の話をきちっと評価していく必
要があるという話が出てきたというのが私の記憶です」
--東電の土木グループが土木学会の先生方に話を聞く中で、福島で1
0メートルを超える津波の想定値が出てきた
吉田氏「私の考え方からいうと、津波自体は、国とか地方自治体がどう
するんですかという話とも絡んでくるでしょう。東電だけがこれを対応し
てもしようがない。
発電所を守るという意味では当然必要なんですけれども、オールジャパン
で、今の対策ではまずいという話をした記憶があります」
--初めて津波想定値を聞かれたときにどういう印象だったか
吉田氏「それは、『うわあ』ですね。私が入社したときに、最大津波は
チリ津波といわれていたわけですから。高くて3メートルぐらい。1
対策費用が大事
--会社の方針はどうだったのか
吉田氏「社内では、地震対策の会議を社長会という形で月1回の頻度で
やっていた。その中で当然のことながら一番重要なのはお金、対策費用が
非常に大事なことだと。耐震補強工事にこのぐらいかかるとか、免震重要
棟を福島にも造らないといけないとか」
--最終的にどうやれるかという検討は
吉田氏「今回の事故で津波は10メートルではなくて、15メートルも
来てしまったわけですから、もともと10メートルの検討をしていても間
に合わなかったと今は思っている。
今回はあまりに津波が大きすぎて、ポンプ自体がすっ飛んでしまうような
ことを考えますと、また全然別の対策になるわけです。どういう津波なん
だというところがはっきりしないときに対策と言っても、議論は非常に難
しいんです」
「産経ニュース」より抜粋。
エネルギーコストは、原発が一番安いとされた定説は、福島第一原発事故
から覆された。
環境保全の面からして考慮すれば、過去の震災や津波等のデーターに翻弄
されずに、想定被害を今の2倍に設定した原発の安全設計で運営したらど
うでしょうか?
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